01 April

今から始める消費税増税対策

update_2019年04月01日   
税務ニュース

増税が先送りされるのか?

いよいよ今年、平成31年(新年号になっていますが)10月から消費税が10%になります。
平成元年に導入された当時は3%、それが5%、8%と順調に税率が上がり、今回で二けたの大台に載ることになります。消費税が上がることによる経済に与えるマイナスの影響を懸念する声も多いですが、はたしてどうなるでしょうか。
ところで、思い返せば消費税率5%時代は比較的計算がしやすかった気がします。それは、5%という税率が暗算しやすいものであったためです。現在の8%に慣れるまで時間がかかりましたが、人間は環境に適応する生き物という言葉通り、最近では違和感なく計算ができていました。

次は10%。
計算自体はいままでで最も簡単にできる税率になりますが、実は、この計算がしやすいというのは、消費に悪影響を及ぼす一因でもあるそうです。例えば本体価額の表示されている品物やサービスがあったとしたら、10%の税率だと瞬時に総額が計算できてしまうのが、負担感を与えることになるのです。
巷では、そういった景気への悪影響もあるためか「増税延期論」もちらほら見られるようになりました。今まで延期は2回。二度あることは三度あるのか、三度目の正直なのかは誰にもわかりません。ただ、経理や税務の現場にいるものとしては、10%になることを前提に準備をすすめていかなければなりません。

消費税増税に対する対策は

今回予定されている改正は税率が上がるだけではなく、消費税でははじめて軽減(複数)税率が導入されます。原則的な税率は10%になるものの、飲食料品(酒類、外食サービスを除く)と新聞(定期購読に限る)については軽減税率として8%の税率が適用されるようになります。この軽減税率についてはマスコミ等でかなり情報が出ていますが、実際、現場でどのような対応が必要になるかはやってみなければわからないことも多々あるでしょう。今回の増税については、この軽減税率の対策が最も大きなものとなりますが、それも含めて今から対応しておきたい以下の課題があります。

1.経過措置についての対応

2014年に5%から8%に上がった際にもあった消費税の経過措置についてです。これは、改正前後でどちらの税率(今回は8%と10%)を適用するかを決める際、特例的に旧税率の適用を認められる取引があるということです。10種類の経過措置がありますが、実務的によく使われるため注意しなければならないものは、賃貸借契約やリース契約の経過措置、請負契約の経過措置、電気・ガス・水道など継続サービスの経過措置です。平成31年指定日の前日、具体的には平成31年3月31日までに賃貸借契約等や請負契約をしているものについては、旧税率が適用されます。また、電気・ガス・水道などについては、平成31年10月31日までに確定するものについては、旧税率の適用となります。賃貸借契約やリース契約については、契約内容の確認とどちらの税率が適用されるか確認しておきましょう。また、請負契約については、契約日が指定日の前なのか後ろなのかの確認と、それに伴う適用される税率の確認をしておくとよいでしょう。

2.軽減税率についての対策

軽減税率への対策としては、全ての事業で会計システムの変更対応が求められます。軽減税率が導入されることによって、10%、8%(旧税率)、8%(軽減税率)、場合によっては5%(旧税率)の4種類をきちんと使い分けて入力することが求められるのです。また、飲食料品を取り扱う事業に関しては、レジの対応、販売管理システムの対応も合わせて行っていかなければなりません。現在、使用しているシステムが税率変更と複数税率に対応しているかどうかの確認を行いましょう。
また、軽減税率への対応が必要な中小企業・小規模事業者等に対しては、レジや券売機、受発注システム、販売管理システムなどの導入・改修についてはその一部を経費補助する制度があります。詳細は中小企業庁のHP(http://www.chusho.meti.go.jp/)などで紹介されていますので、該当するかどうか一度チェックしてみるとよいでしょう。

3.商品、製品、サービスの価格設定

現在、価格表示に関しては、消費者を対象とするものであれば、原則「総額表示」をしなければなりません。ただし、平成25年10月1日から平成33年(2021年)3月31日までの間は、「現に表示する価格が税込価格であると誤認されないための措置」を講じていれば税込価格を表示することを要しないこととされています。つまり、消費者が誤らない措置を講じていれば、税抜価格のみの表示を行うことができるということです。
この措置は、消費税の増税感を緩和するねらいもあるのでしょう。
ここで、対応策を考えなければならないのは、自分の会社の商品・サービスの価格表示をどうするかということです。表示される価格は、消費者にとっては購買するかどうかを決める最も大切なものです。この表示を増税時にどうするのかは、今から考える必要がある課題です。また、価格に関しては、いわゆる「消費税還元セール」とうたった広告は前回の増税時と同様に禁止されています。ただし、「2%還元セール」は認められる見込みですので、増税後の販促活動としてどのような方法が考えられるかも今から検討しておかなければならないでしょう。

ABOUT執筆者紹介

税理士 出口 秀樹

出口秀樹税理士事務所

出口秀樹税理士事務所ホームページ

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